歯周病治療
- 今はちょっと疲れているだけだから。
- 風邪が治れば大丈夫
- 歯周ポケットの奥深くの歯石や細菌まで徹底的に取り除くことができる。
- 手術後に歯茎が下がってしまい、知覚過敏を起こす可能性が生じる
- 手術後のメンテナンスを怠ると、歯周病の進行スピードを加速させてしまう。
- 手術後、麻酔が切れたときに痛みが生じることがある。
- 歯周病で失われた骨や歯周組織を再生することができる
- 副作用や感染症については世界40か国でも報告例がなく、安全な治療と言える。
- すべての骨が再生できるわけではない。(再生できる骨は約50〜90%)
- 喫煙している人の場合、治療を行っても骨や組織が再生しにくい
- 治療後にメンテナンスをしなければ、また戻ってしまう
- 保険が適用されず、自費扱いになる
- 歯茎の奥の歯周病菌を切開せずに除去できる
- 殺菌・消毒・消炎効果により術後の炎症を抑え、回復期間を短くすることができる
- 鎮痛効果による麻酔の使用を減らすことができるため、妊娠中の方やアレルギー体質の方でも安心して治療ができる
原因の除去に努めます。
日本人の80%が疾患していると言われる歯周病。普段は自覚していなくても、ふとした瞬間に「これってもしかして歯周病?」と感じることも多いのではないでしょうか?
実は、お口の中はとてもデリケート。疲れやストレスがたかってくると歯茎がはれたり口臭が出たりと、症状が出やすい場所です。
普段は体の免疫力によって抑えられていた炎症が、疲れやストレス、風邪などによって免疫力が低下してしまったときに発生するという事も多々あります。
そう思ってケアを怠ってしまうと、歯周病はどんどん進行してしまいます。
歯周病治療は早期発見、早期治療が大切です。少しでも違和感を覚えたら、手遅れになる前に早めに歯科医師に相談してみましょう。
歯周病のステージについて
歯周病は、ステージによって大きく「歯肉炎」と「歯周炎」に分けられます。
「歯肉炎」は、歯茎にのみ炎症が起きている状態で歯を支えている骨の部分はまだ健康な状態ですが、「歯周炎」になると歯茎だけでなく顎の骨まで炎症が及んで、骨が溶かされ始めてきます。
いったん骨が溶かされてしまうとご自宅でのケアだけでは治療が難しくなり、回復にも時間がかかってしまいますので、歯肉炎の段階で適切なケアをしてあげることが大切です。
進行ステージ | イメージ | 説明 | 主な症状 |
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歯肉炎 | 歯周ポケットの深さ:3mm以下 歯茎だけに炎症が起きている状態です。 歯周ポケットにたまったプラークの中に潜んでいる歯周病菌によって、歯茎に炎症が起こります。 この段階ではまだ痛みなどの症状はありません。 |
歯茎が赤く腫れ、プヨプヨした状態になる ブラッシングをしたときに出血する |
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ご自宅での正しいブラッシングケアと、歯科医院でのクリーニングのみで改善できます。 | |||
軽度歯周炎 | 歯周ポケットの深さ:3~4mm 歯茎の炎症に加え、歯を支える顎の骨が溶かされはじめます。 歯周ポケットも深くなり、プラークや歯石が溜まりやすくなります。 この段階でもまだ痛みはありませんが、冷たい水がしみることもあります。 |
歯茎の腫れがひどくなる ブラッシングの時に加え、食事のときにも出血することがある。 冷たい水がしみることがある 歯を指で押すと、少し歯が動く |
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専用の器具を使って歯周ポケットの中にたまった歯石や汚れを取り除いていきます。 | |||
中度歯周炎 | 歯周ポケットの深さ:4~6mm 骨への炎症が進み、歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの約1/3~1/2まで溶けてしまっている状態です。 歯周ポケットの中まで歯ブラシの毛先が届かなくなるためさらに汚れが溜まり、症状が進行していきやすくなります。 また、痛みも感じるようになるので、ご自身でしっかり歯磨きを行うことが難しくなります。 |
歯のグラつきがひどくなり、食べ物がきちんと噛めなくなる 口臭が強くなる 歯茎から膿が出るようになる |
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専用の器具を使って歯周ポケットの中にたまった歯石や汚れを取り除いていきます。 中度まで進行している場合は処置の際に痛みを感じてしまうため、麻酔をしてから掃除をする場合があります。 歯周ポケットの奥深くに歯石が溜まってしまった場合は表面からは除去しきれないため、歯茎を切り開き、中にたまっている膿や歯石を取り出す手術を行う場合があります。 |
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重度歯周炎 | 歯周ポケットの深さ:6mm以上 歯槽骨(歯を支える骨)が歯の根の長さの1/2以下まで溶けてしまっている状態です。 ここまで進行してしまうと完治が難しくなり、また治療期間も1年以上かかってしまう場合がほとんどです。 歯や骨の状態によっては抜歯も検討しなくてはいけなくなります。 |
歯茎からの出血が増える 歯周ポケットから膿が出る 口臭が強くなる 堅い物をかむと痛みがある 歯茎が痩せて歯が長くなったように見える |
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重度歯周炎の場合でも、基本はプラークコントロールをしっかりと行うことです。 スケーリング・ルートプレーニング・歯周外科処置などを行って徹底的に細菌を除去していきます。 また、炎症によって歯周組織が大きく失われてしまっているため、再生治療により歯周組織を再生させる場合があります。 |
歯周病の治療方法
スケーリング(歯石とり)・ルートプレーニング(根面の滑沢化)
専用の器具を使って、日常のブラッシングでは取り切れない歯石や汚れを除去していくことを言います。
まず、スケーリングによって歯に付着したプラークや歯石を除去し、その後にルートプレーニングを行い、歯の根の表面をつるつるになるように磨いていきます。こうすることで、歯の表面にプラークが付きにくくなるのです。
歯周病治療で最も大切なことは「プラークコントロール」。そのような意味でも、スケーリングとルートプレーニングは、歯周病治療を行う上で欠かせない、基本ともいえる治療なのです。
スケーリングやルートプレーニングは、通常、歯科衛生士が行います。
歯と歯の間や、歯と歯茎の間の汚れはもちろん、歯周ポケット内部の根の周りについている汚れまで一本一本しっかりと磨き上げなければいけませんので、とても繊細な作業です。
ほとんどの医院では、このような繊細な作業を、衛生士が手の感覚と経験のみで行っているのが現状ですが、当院では衛生士も7〜10倍サージテル高倍率ルーペを使用し、しっかりと目で確認しながら確実に歯石や汚れの除去を行っております。
拡大視野の下で作業を行うことで取り残しもなく、歯や歯茎を傷つけずに治療を進めることができるのです。
歯周外科治療(フラップ手術)
歯周病が中度以上に進行してしまった場合は、歯周ポケットが深すぎて、スケーリングやルートプレーニングでは歯周ポケットの奥にある歯石を除去することが困難になります。
そこで、歯茎を切り開き、直視下で歯根の奥深くにある歯石や汚れを取り出す外科治療(フラップ手術)を行います。
徹底的に汚れを取り除くことができるため、悪化してしまった症状を一度リセットするという意味ではとても有効な治療法ですが、患者さまの負担も大きく、また、状況によっては適用できない場合もありますので、歯科医師とよく相談しながら進める必要があります。
再生治療(エムドゲイン法)
エムドゲイン法とは歯周病で溶けてしまった骨や歯周組織を再生させる治療です。
エムドゲインはスウェーデンのビオラ社で開発された薬で、「エナメルマトリックスデリバティブ」という豚の歯胚組織からつくられたタンパク質の一種を主成分としています。このタンパク質が、歯が生えてくる時と同じ環境を作りだしてくれますので、初めて歯が生えてきた時と同じような強固な組織を作り出すことが可能です。
世界の約40ヶ国以上で使用されている安全性の高い薬であり、日本でも2002年に厚生労働省の認可を受けておりますが、残念ながら保険の適用範囲にはなっておりません。また、すべての症例に適応できるわけではございませんので歯科医師とよく相談して治療を進める必要があります。
より確実な治療のために(導入設備)
レーザー治療
症状が進んでしまった歯周病の場合、歯茎の切開や歯周ポケットの殺菌・消炎をレーザーでおこないます。
レーザーの光は歯周ポケット内の奥深くまで到達し、歯石を取り除くと同時に歯周ポケット内の細菌を死滅させることが出来ます。
痛みや出血も少なく回復期間も短くすることが可能ですので、患者さまの負担も少ないというメリットもあります。
CTによる診断
歯周病は、骨がどんどん溶けて行ってしまう病気。適切な治療を行うには、その目では見えにくい骨の吸収具合をしっかりと把握することが大切です。
従来のレントゲン画像では2次元的にしか確認することができなかったため、骨の形や根の状態も表面からみた状態でしか把握できませんでしたが、CTを導入したことにより、骨の質や高さ、立体的な形まで正確に把握できるようになりました。
これにより、手術の必要性や歯を残せる可能性などを的確に判断でき、効率的に治療を進めることができるようになりました。
治療後のアフターフォロー
歯周病治療が完了して健康な歯茎を取り戻せたとしても、日々のブラッシングやメンテナンスを怠ってしまうとまた歯周病が再発し、治療が必要となってしまいます。
特に、歯周病になりやすい体質の場合や、歯ぎしりや食いしばりによって歯に過度の負担がかかってしまっている方の場合は再発がしやすい状態にありますので注意が必要です。
一度歯周病で骨が溶けてしまうと治療にも時間がかかってしまいますので、そうならないためにも歯科医院にて定期的にメンテナンスをしてもらいましょう。