2019年11月26日更新
『歯は食べ物を嚙むためだけの道具ではない』大切な感覚受容器。
東京都 調布市 京王線 柴崎駅南口正面 あきら歯科 院長 伊藤 玲です。
今回は、
『歯は食べる、噛むための道具だけなのか??』
について考えます。
赤ちゃんは生後半年くらいで歯が生え始めます。『歯が生えてきたこの時期は、歯で噛んで栄養を摂る必要がある時期である。』と昔から考えられてきました。また、歯が生えてきたら咀嚼回数をできるだけ多くすることで、顎の筋肉が発達し、歯並びも良くなって歯のために良いとされています。そして、この時期に離乳食が始まります。
このような人生の始まりである乳児期の変化を見ても明らかなように、歯の1番の役割は食べ物を咀嚼するということであることであります。
しかし、咀嚼は歯の機能の全てではありません。
石などの異物を嚙んでしまった時の違和感や、食べ物の硬さや軟らかさを感じるのは歯が単に物を噛むだけでなく『センサーの役割も果たしている』からです。歯根の周囲に存在する歯根膜に分布する歯根膜受容器から三叉神経を介して、『歯で噛んだ時の食べ物の繊細な情報が脳に伝わっています。』
つまり、歯は神経を通じて脳とつながっていて、そのため歯の1本1本が全身に影響を及ぼしています。
食べ物をよく噛むことにより副交感神経刺激を受けた唾液腺から唾液が分泌されます。
しかし、入れ歯やインプラントの人工的な構造物でも食べ物を噛むことはできますが歯根膜の神経センサーの機能は失われているため、本来ある歯の感覚受容器としての機能は存在しません。
高齢者は、老化に伴い唾液分泌が減少するとされています。その原因には単なる老化だけではなく、歯が失われることに伴う神経刺激の減弱も当然のことながら関連していると考えられます。
老若男女問わず、『歯の感覚機能』を大切に考えて、『食べ物をよく噛む』ことの効果をイメージして頂ければと思います。
哺乳から離乳食に移行した赤ちゃんの成長に合わせて、『噛む』という動作から感覚・神経センサーが発達し、様々な器官への発育を促すことでしょう。そのように考えて『食事』を工夫できると良いですね。
『お口は命の入り口で発達・発育のスタート地点』です。
『食べ物・食べるもの・栄養』ももちろん大切だけれど、食べ物をどう食べるか?どう噛むか?という『食べ方』『噛み方』も大切なことと考えます。
あきら歯科
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