永久歯が生えてこない子供が増加している?永久歯の先天性欠如
- そもそも、永久歯が存在しない
- 永久歯は存在するが、生えてこれない
- 2-1.歯茎が厚すぎて、永久歯がなかなか生えてこれない
- 2-2邪魔な歯(過剰歯)があるために、永久歯が生えてこれない
永久歯が生えてこない!?
同年代のお子様の歯が乳歯から永久歯に生え変わっているのに、自分の子供はなかなか生え変わらないと、ちょっと不安になってしまいますよね。
一般的に子供の歯の生え変わりが始まるのは、6歳から7歳ごろ。下の前歯から抜けていきます。
お子様の歯が8歳になっても生え変わらないと少し心配になってしまうかもしれませんが、歯の生え変わりの時期にはかなりの個人差がありますので、ほとんどの場合はちゃんと自然に永久歯に生え変わります。
ただし、中には、もともと永久歯がない「永久歯先天性欠如」の場合や、何かしらの障害物があるために永久歯が出てこれないという場合など、適切な処置が必要なケースもあります。
永久歯がなかなか生えてこないという場合は、まずは歯科医院にてレントゲンを撮ってもらい、永久歯の状態を確認してみましょう。
原因別の対策法
永久歯が生えてこない原因としては、下記のパターンに分けられます。
1、そもそも、永久歯が存在しない場合
もともと永久歯が存在しない「永久歯先天性欠如」の場合、生え変わるはずの乳歯が抜けず、そのまま残っていることがほとんどです。
通常は、下から永久歯が育ってくると、その永久歯が乳歯の根を溶かすために乳歯が自然と抜け落ちるのですが、永久歯がない場合は乳歯の根が溶かされずにいるため、乳歯が残ったままになるのです。
ただし、乳歯は虫歯になりやすいのと、少しずつではありますが根が吸収されていくので、20歳から40歳までには自然に抜けてしまうことがほとんどです。
将来的にはどうしても何かしらの治療が必要になってしまいますが、早く発見できればその分治療の選択肢が増えますし、治療も最小限に抑えることができます。
早期に発見できた場合は、まずはなるべく歯を長持ちさせるように、適切な予防処置と経過観察を行うことが基本です。
いずれ治療が必要になるにしろ、しかるべきタイミングまで乳歯に頑張ってもらう必要がありますので、より大事にケアをしてあげることが大切です。
早くに発見できていれば、親御さんや本人の意識はもちろん、歯科医師側の意識も変わります。引っ越しなどで医院を転院された場合も、担当の歯科医師や衛生士には先天性欠如のため永久歯がないことをしっかりと伝えておきましょう。
治療方法として考えられる選択肢は主に下記の2種類になります
矯正治療で歯を動かし、開いてしまったスペースを埋める方法です。
欠損部分以外の永久歯が生えそろったタイミングで欠損部分の乳歯を抜き、全体の歯並びと噛み合わせを整えるための治療を行います。
矯正治療を選択する場合、時期として最適なのは12歳~18歳ぐらいまで。10代であればまだ顎の骨も柔らかく、歯を動かしやすい状態にありますので、比較的短期間で治療を終えることが出来ます。
お口の中に人工の歯を入れないという意味では理想的な方法ですが、欠損の本数や上下のあごの状態によっては、健康な歯も抜歯をして上下のバランスを合わせなくてはいけないこともあります。
もともと歯並びが悪く矯正治療が必要な状態だったのであればこの時期に矯正を行った方が良いですが、歯並びや噛み合わせの状態が良い状態であれば、矯正によってわざわざ噛み合わせを崩してしまうのはとてももったいないと思います。
矯正による治療を検討するかどうかは、欠損の本数や部位、アゴや歯並びの状態などを総合的に見て判断する必要があります。
お子様の歯並びや噛み合わせに問題がない場合は、こちらの方法を選択される場合がほとんどです。
乳歯をできるだけ大切に使い、自然に抜けてしまった段階で、その空いてしまった部分を補うための人工の歯を入れます。
歯科医療の発展により、現在は、天然歯と同じように噛めるインプラントやバネのない入れ歯など、高性能な人工歯もたくさんありますが、とはいえ人工物であることに変わりはありませんので、時間の経過とともに劣化していってしまいます。
入れるタイミングをなるべく遅らせ、最小限の治療にとどめるように管理することが大切です。
比較的早い段階で、虫歯などによって乳歯が抜けてしまった場合、治療の選択肢としては、矯正治療か入れ歯が挙げられます。
補綴手段としては、入れ歯のほかにもブリッジやインプラントがありますが、あごの骨の成長がある時期にブリッジやインプラントによる治療をしてしまうと、この部位の成長を抑制してしまい、かえって残りの歯並びに悪い影響を及ぼしてしまうリスクがあります。
矯正にするか入れ歯にするかは、欠陥の部分や欠陥本数、歯並びや噛み合わせの様態などを見て判断することになります。
入れ歯で補う
永久歯の入れ歯は保険治療でも可能ですが、保険治療の場合は金属のばねが見えてしまったりと、まだ10代のお子様にとっては少しつらいかもしれません。
そのような場合は、保険適用外にはなってしまいますが、ソフトデンチャーと呼ばれるバネのない入れ歯もございます。
将来的にインプラントにするにしても、思春期の多感な時期ですので、なるべく見た目に考慮した治療法をご提案してあげたいと考えています。
矯正治療を行う
他の永久歯が生えそろっているタイミングであれば、矯正治療が可能です。
ただし、乳歯が抜けた原因が虫歯によるものの場合は注意が必要です。
乳歯を虫歯で失ってしまった場合、もともと虫歯になるリスクが高い体質や、日常のデンタルケアが上手にできていない可能性があります。
そのような状態で矯正治療のための器具を装着するとさらに歯磨きがしづらくなり、装置を外したら、装置の周辺部分の歯が虫歯だらけに…という事にもなりかねません。
今までのデンタルケアの見直しと同時に、歯科医院での定期クリーニングも行うようにしましょう。
20代以降になると顎の成長も止まっていますので、矯正治療や入れ歯に加え、インプラントやブリッジという選択肢も考えられます。
ただし、年齢が遅くなればなるほど、矯正治療による移動が難しくなってきますので、歯並びに問題がない場合はインプラントやブリッジ、入れ歯などの補綴手段を検討するのが良いでしょう。
それぞれにメリット、デメリットがございますので担当の歯科医師にご相談ください。
永久歯は存在するが、生えてこれない
永久歯が埋まったまま生えてこない期間があまりにも長く続いてしまうと、周辺の歯に悪影響を及ぼし、歯並びや噛み合わせが崩れてしまう可能性があります。
そのため、永久歯が存在するものの何らかの原因によって生えてこれないでいる場合には、その原因ごとに適した処置をしてあげる必要があります。
歯茎があまりにも厚すぎると、永久歯が生えてくるのに時間がかかる場合が多いです。
それでも、通常は1~2年もすれば自然に永久歯が生えてきてくれますが、定期的にレントゲンで観察をしても歯茎の中の永久歯に動きがみられない場合は、何かしらの処置をしてあげる必要があります。
多くの場合には、レーザーで少し歯茎を切り、永久歯が出てきやすい環境を作ってあげるとすぐに永久歯が生えてきますが、それでも永久歯に動きのない場合は、矯正の力を利用して歯を上に引っ張ってあげなければいけません。
また、外傷などで早くに乳歯が抜けてしまったなど、乳歯が抜けてから時間が経っている場合も、永久歯が出てこれずに埋伏しているケースが多いです。
その部分の歯茎が硬くなっているために永久歯が歯茎を突き破れずにいますので、その場合も同様にレーザーで処置をしてあげます。
過剰歯とは、本来生えてくるべき歯の数よりも多く存在する歯のことを言います。
発生の原因は今のところはっきりと解明されていないのですが、女性よりも、男性の方に多くみられる現象です。
もし、過剰歯が邪魔をして下の永久歯が生えてこれない状態になっている場合には、手術によりその過剰歯を取り除いてあげる必要があります。
過剰歯の抜歯は当院でも日常的に行っている手術で、決して珍しい症例ではないのですが、少なくとも外科手術を伴う治療ですので、出来れば口腔外科出身の手術経験豊富な先生に診てもらうのが良いでしょう。
まずはご相談を
お子様のお口の中の状態は千差万別。一言で「出っ歯」といっても、その原因はまったく別のものかもしれません。お一人で悩まずに、まずはご相談にいらしてください。
無理に治療はすすめません。今後のご参考にしていただければ幸いです。