口腔内外接着法 破折した歯を救う最後の一手
- 噛んだ時に痛みや違和感がある。
- 歯茎が腫れる
- フィステル(歯肉の膿みの出口)ができる
- かぶせ物が外れやすくなる
- 既に歯の神経をとっている
- 金属の土台を入れている
- 何度も治療を繰り返している
- 歯ぎしり、食いしばりの癖がある
- 噛み合わせが悪い
意外と多い?垂直歯根破折とは
歯根破折とは、歯の根の部分に垂直にヒビが入っていたり、完全に割れてしまっている状態を言います。
「歯が割れる」という言葉は、もしかしたらあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実は、永久歯を失う原因として、歯周病(41.8%)や虫歯(32.4%)に次いで3番目に多いのが、この破折(11.4%)による抜歯だそうです。
一般的に歯が破折してしまった場合、治療の手段としてはほぼ抜歯しかないというのが現状で、歯の破折は歯の臨終といった表現をされてきたりもしました。
ですが、現在では、歯科技術の発達や材料の進化により、破折してしまった歯でも、条件によっては残せることが可能な場合も出てきました。
もし、「歯が割れてしまっているので抜歯しかない」と言われてしまった場合でも適応できる可能性がありますので、まずは是非ご相談いただければと思います。
歯根破折の症状
歯根破折は、歯茎の中にある歯の年の部分にヒビが入ったり、割れたりすることですので、ご自身の目で確かめることが出来ません。
ですが、下記のような症状が現れることが多いです。
主にこのような症状が現れます
歯根破折の原因
歯根破折は、ほとんどが抜髄済みの歯で起こります。
神経をとってしまった歯は、養分や水分が行き届かずに枯れ木のような状態になってしまうため、脆く、割れやすくなってしまっているのです。
また、抜髄後にかぶせ物を入れる際に金属の土台を入れた場合も、柔らかい歯の方に力が集中してしまうため、破折を起こしやすくなります。
もともと歯が弱く、また歯ぎしりが強い方の場合、かぶせ物を入れる際も、上記の破折リスクを踏まえて治療法を選択されるのが良いでしょう。
このような場合、破折を起こしやすくなります。
抜歯の前の最後の一手「口腔内外接着法」
口腔外接着法とは、破折してしまった歯をいったん抜いて口の外に取り出し、破折してしまった部分をキレイに修復してから元の位置に再植する治療法です。
治療に時間はかかりますが、一度抜歯をして処置をするので炎症部分の除去なども確実に行うことができ、予後が安定しやすい治療法です。
対応している医院はあまり多くはありませんが、歯を残すための最終手段となる治療法といってもいいでしょう。
口腔外接着差移植法は、その治療の難易度などからも、対応している医院はまだまだほんのわずかです。
しかしながら、成功すれば、ご自身の歯を残せるというメリットの高い治療法であると考えております。
当院では、歯根破折により抜歯が必要と判断された歯であっても、残せる可能性がある歯に関しては、この口腔外接着法による治療も選択肢としてご提案させていただいております。
口腔内接着法 治療の流れ
1、応急処置、消炎処置
歯根破折している状態の場合、炎症や痛みを伴っていることがほとんどです。
まずは炎症や痛みを沈めるための処置をし、落ち着いてから再度、診査診断のための検査をいたします。
2、診断
歯根破折の診断はレントゲンのみでは非常に難しく、また自覚症状もほかの歯科疾患と似ているため、発見が遅れてしまうことが多々あります。
当院では、CTやマイクロスコープも用いて精密に診査診断をし、なるべく早期に発見できるよう対策しております。
3、破折した歯の根管治療
死んで腐ってしまった神経や細菌によって汚染された根の中をキレイに消毒してから薬で密閉し、細菌の繁殖を抑える治療です。
歯の根っこの管は細くて暗く、肉眼で確認できるものではありません。従来の、経験と勘による手探りの治療では限界があるのです。
当院では根管治療を行う際には7〜10倍サージテル高倍率ルーペやラバーダム、必要に応じてマイクロスコープも使用し、しっかりと目で確かめながら歯根の先端まで確実に殺菌消毒しております。
4、口腔内接着
破折した歯の歯根内面を消毒し破折部分を接着し、土台を築盛します。
5、かぶせ物装着
経過に問題がなければ最終の被せ物を装着し、治療終了となります。今後経過観察していきます。
口腔外接着再植法 治療のながれ
1、応急処置、消炎処置
歯根破折している状態の場合、炎症や痛みを伴っていることがほとんどです。
まずは炎症や痛みを沈めるための処置をし、落ち着いてから再度、診査診断のための検査をいたします。
2、診断
歯根破折の診断はレントゲンのみでは非常に難しく、また自覚症状もほかの歯科疾患と似ているため、発見が遅れてしまうことが多々あります。
当院では、CTやマイクロスコープも用いて精密に診査診断をし、なるべく早期に発見できるよう対策しております。
3、破折した歯の抜歯・洗浄
麻酔処置後、破折してしまった歯を抜歯します。
この際、歯根膜を傷つけてしまうと再植後に歯が定着しなくなってしまいますので、なるべく傷つけないよう、拡大視野にて慎重に抜歯をします。
4、口腔外接着
破折した歯の歯根の炎症性組織を除去・消毒し、専用のセメントで接着します。
5、再植手術
抜歯した抜歯窩の炎症性不良肉芽組織を除去し、接着した歯根をもとの抜歯窩に戻します。
動かない様にしっかりと縫合・固定します。
6、土台・仮歯装着
経過観察後、土台を装着し、仮歯でさらに経過観察をします。
7、最終かぶせ物装着
経過に問題がなければ最終の被せ物を装着し、治療終了となります。
再発のリスクを抑えるために
口腔内外接着治療法により歯を残せたとしても、その原因を改善しない限り、また割れてしまうリスクは高くなってしまいます。
当院では、再発のリスクを抑えるために、下記の対策も推奨しています。
歯ぎしり、食いしばり対策
もともと噛み合わせが強かったり、歯ぎしりをされる方の場合、過度の力が加わり、歯根破折を起こしやすくなります。
特に夜間、無意識下で行われる歯ぎしりについては、ご自身で力をコントロールすることは非常に困難なため、マウスピースなどの装着により、歯を保護してあげることが重要です。
矯正治療
歯根破折を起こしてしまう原因として、実は噛み合わせの悪さが影響している場合も多くあります。
噛み合わせが悪いことで一つの歯に過度な力が集中してしまい、歯がその力に耐えられずに破折してしまうというケースです。
このようなケースの場合、再破折のリスクも高まるのはもちろんのこと、顎全体のバランスが崩れていることがほとんどですので、仮にその歯が抜歯になってしまった場合でもほかの歯に負担がうつることとなるため、どんどんと歯が悪くなってしまう悪循環になってしまいます。
矯正治療や、トレーニングによる舌癖の改善やお口周りの筋肉の強化により根本的な歯並びの改善をおススメいたします。
患者さまの理解
破折した歯は、通常の健康な歯に比べると、どうしても強度は弱くなってしまいます。
また、その原因を改善せずに治療前と同じ状況で生活をしていたら、またすぐに破折してしまうことになってしまいます。
なぜ歯が破折してしまったのかをしっかりと理解いただき、その歯が再度破折しないよう、また、他の歯も破折といった状況にならないよう、ご自身の歯を大切に守っていく意識が必要です。
そのためにも、歯が悪くなった時に悪くなった歯だけを治すのではなく、常にお口全体のバランスを見ながら、過度な力が加わってしまっている歯がないかもチェックしながら定期的にメンテナンスをしていくことが大切です。